今ここってどこ?

 

インプロを指導する先生方は

「インプロするときに大事なのは”今ここ”にいることだ」

と強調します。

 

確かに「これからどうなるんだろう」という先読みや

「今まではこうだったから」という思い込みではなく

いまの瞬間に意識を持ってくることは

即興的な創作をするときに大事なことだと思います。

 

しかし実際には(これは自分の体験であり、

インタビューをしたシアトルの即興パフォーマーたちも

同じようなことを話していたのですが)、

即興パフォーマーは、「いま」というより

ちょっとだけ(0.1秒ぐらい)先の未来を感じつつ、

ビビットに動いているんじゃないだろうか。

 

それはReedがいう「予期的気づき」というもので、

「頭で考えて予測する」たぐいのものではなく、

環境にアフォードされるような感覚に似ているかも。

 

インプロ(即興劇)がうまいひとは、予期的気づきの精度が高く、

即興がへたな人は予期的気づきの精度が低いんじゃないかな。

 

例えば、即興的な先生は、生徒の小さな表現ともいえない表現に気がついて、

それを認めてあげられる。

でも即興的ではない先生は、生徒の変化に気がつかない。

でももちろん気づくだけじゃなくて、そこからの行動力も含まれる。

 

即興的に動ける人は、きっと自分を環境に開き、

自分の直感を疑わずに行動しているんじゃないかな〜。

 

なお、インプロが仏教や禅に似ていると簡単に言う人がいるけれど、

じっくり観察すると本質的にはそうとう違うように思う。

 

「今ここ」という感覚は重要な感覚だと思うけれど、

美化しすぎると本質が変わってしまう。

のではないかと思う。

 

「今ここにいよう」と意識するだけで、すでに「今ここ」にいないことになるから。

 

なんかややこしいけれど(苦笑)。