朝4時間/夜4時間という不規則なWSライフ。
緯度が高いからか、ちょっと歩くと疲れてしまふ〜(運動不足のせいかもしれないけどね。苦笑)。
WSは、とにかく参加者のモチベーションが高く、ラテン系のノリでリアクションしてくれるので、こちらもやりがいがある。昨日の朝クラスは、前日の夜クラスと同じ内容を考えていたが、グループの様子を見て大きく変更。このクラスはメキシコやチリなど、別国から来た人たちも多く、賑やかなのにも関わらず、WSの部屋が狭かったため、彼らのエネルギーが十分に発散されるようなエクササイズをまずは前半に行った。このように場や人に合わせて、WSの内容を変えていくことは大事だと思うし、その判断をするのはいつもドキドキ(賭け事をしているみたいに)するけれど、私はそういうやり方が好き。
朝クラスの後半はだいたい夜クラスと同じ内容。印象的だったのは、Dixtカードを使って「自分の今の状態を表しているカードを探してみて」とお願いした。そして「なぜそのカードを選んだのですか?」と聞いたところ、年配の男性がこう言った。「少年の頃のボクに出会ったから」。彼はそのカードに若い頃の自分を見つけた。他の人が同じカードを見ても、きっとそこには若い頃の自分はいないだろう。きっと違う何かを見出すだろう。このように自分の外側にある環境や物事を「どう読み取るか」で、自分にとって世界の意味が異なっていく。即興演劇の場合は、自分の頭でアイデアを考えるのではなく、自分が取り囲まれている環境や物事から、いかに意味を見つけるかが鍵である。今回のWSでは、それをしつこく話して「頭で考える」ことから参加者を解放してあげたいと思っている。
夜のクラスのメンバーは仕事や学校を終えて集まるので、少々疲れ気味。でも会場は、演劇用のリハーサルルームなので、部屋に入ると「やる気スイッチ」が自然に入るようになっている。最初にムーブメント(直感に従って動くことの大事さ、全体を理解しなくても舞台は成立する理論、アブストラクトな表現の面白さ)をやって、後半はコンクリートなシーン。ただし前半にアブストラクトだったので、そこから急に具体的なシーンにならないように、抽象度の高い表現から徐々に具体的な類のシーンへ。それにしてもパフォーマーが、ここのグラデーションを自由自在に表現できるようになったら面白いだろうなって思った(日本でもこれ試してみよう)。彼らはハグが大好きなので、あえて「コンタクト」というエクササイズをやった。このエクササイズのルールは、身体接触をしている時だけしゃべることができる(逆にいうと、身体接触しなければしゃべる必要はない)というルールがある。相手役に頼ってベタベタ触ろうとすると面白くなくて、むしろ「あえて会話を中断して、離れる」ことでキャラクター間に緊張感が生まれて、心もグルングルン動く。彼らがやっているのを見ながら、彼らのレベル(どんなことができて、どんなことを知らないか、どんなことに行き詰まっているか、行き詰まっていないならば、次にこちらから提案できることがらは一体何か)を見る。参加者のやっている行為、やった後の感想、わたしへの質問、休憩中の雑談など、すべてが参考になる情報である。さらに、わたしの目の前で、エクササイズをやっているかれらの「状態」を頭の中でシュミレートして、彼らがいまおかれているであろう心身の「状態」を推測して(感じて)みる。そういったすべての情報をできるかぎり敏感にセンサリングすることで(情報学でいえば情報を収集して)、この場にベストなものを提供しようと私はしている。まったくもって抽象度の高い主観的なことだけれど、わたしはこの観察と推測によって、WSで行う「次の手」を常に考えている。(だから毎回すごく疲れてしまって、8時間の睡眠は必須である。苦笑)。