目標を持つということ(スポーツ心理学の観点からざっくり考えた)

新年を迎えて

今年の「目標」を掲げた方々もいらっしゃるかと思います。

 

「目標を持つ/目標を立てる」ことは

スポーツ心理学の一つの研究テーマであります。

「どうしたらスポーツ選手やチームが良いパフォーマンスをすることができるか」

 

これがスポーツ選手にもチームにも最大の興味なので、そのために「どのような目標を持ったらいいか」ということも研究対象となるわけです。

 

スポーツ心理学によると、ただ単に「目標を持てば良いパフォーマンスに結びつく」とは限らないようです。

 

目標設定は大事なのですが、

自分にとって難しすぎる目標、曖昧な目標は逆効果になります。

 

どういうことかといいますと、

目標を立てるということは、パフォーマンスの結果を「今より良くする」ためです(「今より悪くなる」ために目標をたてる人はめったにいません)。結果をよくするためには自分の「今の行動を変えていく」必要があります。

 

つまり「目標」を立てるということは、「具体的に自分の行動を変える」ための方略であります。

 

結果を変えたいなら行動を変える必要がある。

行動を変えたいなら、行動が変わるような適切な目標設定が大事ということです。

 

もし自分の目標が、今の自分の行動を変えるものでなければ、その目標は意味がないわけです。たとえば目標が自分にとって難しすぎるもの/現実味がないもの/曖昧模糊なものだと行動を変えるまでに至りません。

 

目標は難易度(達成できそうな度合い)と具体性が必要です。

 

さらに目標には3つのタイプがあります。

1. Outcome Goals :よい結果が出ることを目標にする
2. Performance Goals:過去の自分との比較して目標をたてる
3. Process Goals:良いパフォーマンスのプロセスに焦点をあてる

 

Outcome Goals は、他人の出来に影響をうけますので、自分ではコントロールできない部分があります。つまり他人の状況によって、自分の目標が左右されてしまいます。一方、Performance GoalsやProcess Goalsは、他人に左右されず自分でコントロールしています。他人を気にせず、自分の中の目標として設定することができます。

 

このように結果ばかりに目標を設定すると、自分ではどうしようもない事象に振り回されることになりますので注意することです。

 

「○○をがんばろう!」や「○○をがんばらないようにしよう!」などの目標は、その目標がOutcome GoalsとしてなのかPerformance GoalsやProcess Goalsとしてなのかによって、大きく意味が変わってくるでしょうね。

 

そういえば演劇でよくあるのは、役者がお客さんに書いてもらったアンケートの内容で一喜一憂するケース。

 

お客様に書いていただいたアンケートを終演後にむさぶるように見る役者さんたちがいます。彼らは自分の名前を探しているのです。お客さんに褒めてもらいたいからです。逆に自分がけなされていたりすると、一気に落ち込んでしまう。ひどいと長く稽古していきた時分の演技や相手役とのやりとりを、お客さんの意見で変えてしまう。

 

しかしお客さんは主観的にたまたま書いただけであって、たまたま別のことで機嫌が悪かったのかもしれません。お客さんは総合的な作品として見ているわけではありません。

 

実はこれは若いときの私でもあります(苦笑)。さすがに演技を変えることはありませんでしたが、よく他人から言われたことで一喜一憂していました。役者は「他人から褒められる」というOutcome Goalsを持つと不幸です。常に不安でいなくてはならないから。

 

そういえば「目標は人には言わない」という主義の人もいますね。

もし目標がPerformance GoalsやProcess Goalsなのであれば、人に公開する必要がないからかもしれません。目標を自己の内面に秘めておくことで、目標と向き合っているのかもしれません。

 

新年に向けて、みなさんはどのような目標を立てられましたか?

 

もう一度、目標の難易度、具体性、設定のゴールを見直してみると

良いかもしれません。

(わたしも見直してみます!)

 

みなさんの目標が達成しますように!