シアタースポーツ元年?

演劇大学連盟「シアタースポーツ」絶賛本番中!シンポジウムが行われました。

日芸、桐朋、多摩美、桜美林、玉川という順番で過去の公演を振り返った。司会は東京芸術劇場の高萩さん。その中で、今回の「シアタースポーツ」に関してのコメントも多々いただいた。それによって、今回を俯瞰することができ、これからどう活動していったらいいかということに関して大きなヒントをいただいた。

 

 自分は演劇業界の片隅でず〜っとインプロをやってきたし(1994~)、最近は小さなグループ達も増えてきて活発な活動もあるので、インプロやシアタースポーツが多少浸透してきているかなぁ〜と思ってたが、「インプロ、インプロ」という声はあくまでも私の周囲だけで、それ以外の大半の人たちは知らない。特に演劇業界のど中心にいらっしゃる方々にとって、これらはとてもマイナーなものである。そして今回の公演は「インプロ」や「シアタースポーツ」を大きく知ってもらう機会となった。(ラッキーなことに、とてもポジティブにとても可能性があるものという評価を残して)

 

 

芸術劇場の高萩さんからは、「シアタースポーツ」に関して、2点の可能性があるとおっしゃった。1つは「シアタースポーツ」の商業的な可能性。プロの俳優がやったらどうなるか、地域の人たちがやったらどうなるか、いろいろな人ができる可能性がある。劇場法が成立し、公共劇場が社会的な活動を積極的にする必要がある中で「シアタースポーツ」は大きな可能性がある。例えば2020年の東京オリンピックに向けた文化芸術事業の中に「シアタースポーツ」は相応しいのではないか。2点目に教育的な意義である。演劇を教育するために「シアタースポーツ」は大変に良いのではないか。この点に関しては、5つの大学の先生方も同意で、実はすでに桜美林、桐朋、玉川では授業の一環として取り入れられている。

 

 

さて先生方からも興味深い発言をいただいた。桜美林大学の木佐貫先生は、ダンスの世界ではコミュニティダンスと言って、一般の人が楽ししめるダンスがある。インプロもそのような位置づけで人々が楽しむものになれるのではないかとおっしゃっていた。また多摩美の加納先生は「シアタースポーツの稽古を度々みてきて(稽古ではあまりうまく言っていなかった学生が)、劇場に入ってお客さんがいる前であんなに学生が化けた(良い意味で大きく変化した)のはお客さんがいたからだと思う。これは大きな演劇の仕組み、つまり「観客が目の前にいるからこそ演劇は成り立つのだということを示している」とおっしゃって、即興演劇がいかに演劇の原点であるかということを教えてくださった。桐朋の安宅先生は私に「インプロはみごとにスタニスラフスキーシステムの要素を取り入れている。リアリズム演劇を学ぶ/行う者たちは特に、インプロをやるべきだと思ったわ」とおっしゃっていた。日芸の藤崎先生は稽古中から「これは本当に意義があることだ」と応援してくださった。どなたかがおっしゃった。「今回の公演は、ある意味「シアタースポーツ元年」だよね」と。わたしは素直に同意できない。なぜなら今まですでに「シアタースポーツ」や「インプロ」をやってきた人たちややり続けている人たちがいるからだ。彼らなくして、今はない。

 

さあこれから。

視野を広げて大きく見ると、これらはまだまだ知られていない。そして、これからできることがまだまだあるということを教えてもらった。実はわたし個人はとても気持ちが疲れてきていて、もうやめちゃおうかなと考えていた。(インプロ業界内での否定や足の引っ張り合いコメントが続いていたので〜)でもそのネガティブさんはちっぽけで、それ以外の人たちがたくさんいて、インプロやシアタースポーツに社会に貢献できる要素があるのであれば、わたしはもう少しがんばらなくちゃなぁ〜と思いました。それにしても今まで「シアタースポーツ」って何?公演として大丈夫なの?ってめちゃくちゃ否定され続けてきたことが、手のひらを返したように、めしゃくちゃ褒められている。嬉しいけど実感が沸かないな。

 

最後に。わたしが一番嬉しいのは、とにかく学生がめちゃくちゃ面白いインプロを展開してくれていること。すべての学生がこの公演にがっつり関わって、お互いにさらけだして、表面的なことじゃなくて仲間になっていったこと。もちろんスタッフの学生を含めて。これはシアタースポーツのフォーマットによる成功もあるけれど、それだけでは語れないものがあります。もちろん私だけががんばったのではなく、すべての学生とアドバイザーの先生方のご努力にあります。ありがたいです。そして私が学生たちをどう指導してきたかは、この公演が終わってからまとめたいと思います。いろいろ工夫しました。秘密があるのです。これには。