キースはシアタースポーツが嫌いとは言っていない。

 名前は伏せる。しかし「インプロ業界」である程度発言力のある人が、フェイスブックで「キースはシアタースポーツが嫌いである」と書き込みをしていた。変わり者で知られるキースのことだから、もしかしたらそういうことを言ったのかもしれない。しかし演劇大学連盟「シアタースポーツ」の本番中ということもあり、こういうことを書かれるのは気持ちがいいものではない。そもそもどういう文脈なのか説明がない。しかも一方の批判するような言葉だけを書き発表する行動自体が浅はかだ。しかしもしそれが本当のことならば、それはこちらが口を挟む筋合いではないけれど。

 私はさっそく本人(キース・ジョンストン)にメールをして聞いてみた。今までも日本でインプロをやっている人たちが「?」という発言をすると、わたしは直接キースに相談してきた。大概、キースが言ってもいないことを「キースはこう言っていた」と書いていたり、英語のニュアンスを理解していない人が間違って書いていたりするからだ。キースからの返事はわたしが予想していたよりはるかに早く届いた。

 

"I like good TheatreSports - TheatreSports that isn’t just a waste of time!".

 

「わたしはGoodなシアタースポーツは好き。シアタースポーツは時間の無駄ではない!」

 

ほら。

キースはシアタースポーツが嫌いとは言っていない。

良いシアタースポーツをやってほしいとむしろ願っている。本当ならシアタースポーツはとてもいいものなのになぁ〜という思いが、この文章から感じとれる。

 

もしかしたらキースは、シアタースポーツを誤解している人たちへの警告としてネガティブに「嫌いだ」と言ったのかもしれない。この点に関しては、キースやinternational Theatresports Instituteが口をすっぱくして注意していることだし、ずいぶん昔からいろいろ議論されている点である。

 

もし海外でインプロを学んできた人が、インプロを知らない日本の人たちに何かを伝えるのならば、キースが大事にしている点は一体どんなことで、どんな風にそれが捻じ曲げられて伝わってしまったかという点を知っての上でするといいのにな。このように平気で「キースはシアタースポーツが嫌い」などと書いてしまう人たちがいるおかげで、日本に大事なことが捻じ曲げられて伝わってしまう。

 

もちろん、どんなことだって、そのまま伝わることなんてない。情報を受ける側の問題もあろう。だから情報が正しく伝わるなんてほぼ100%不可能。しかし責任ある立ち場の人間が、自分の専門に関してパブリックに情報を流すのであれば、自覚的に気をつけるべきだと私は思う。すでにこの人のような動きをする人たちのおかげで、たくさんの間違ったニュアンスで物事が伝わっている。とても残念でならない。本当に本当に残念。

 

私はこうやって実際に人に聞いて、それが正しいのかそうでないのかを確かめて、「こうだったよ」と伝えることしかできない。