演劇教育の歴史と現在の活動状況(めちゃくちゃ大雑把ですが)
前置き
ものすごく大雑把な話をしています。みなさんのちょっとした参考になればいいな程度でございます。
間違いや付け加え情報がありましたら、どうぞ教えてくださいませ。
**************」」東京オフ会でも話題に出ましたが演劇を使った教育(演劇教育)の中で、インプロは大いに応用活用できるのではないかと考えます。
それは演劇教育の活動の多くが「即興的」であるからです。
しかし、インプロをやっている人で
「もっと自分のインプロ力を活かしたい!活動の場を広げたい!」
「自分が持ってるインプロ力で社会(特に教育)に貢献したい!」
と思っているにもかかわらず、
「どうしたらいいかわからない〜(涙)」と思っているみなさんも
いらっしゃるんじゃないかな〜と思います。
そこで、
インプロととても相性のよい「演劇教育」に関して、
知っている限りで恐縮ですが、ざっくりまとめてみました。
これから説明しますが、
演劇教育活動を行なっているグループはたくさんありますので、
そういう人たちと出会うことで、皆さんの活動が広がるといいなぁ〜と思っています。
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そもそも。
演劇を教育に応用する活動は、アウグスト・ボワールの被抑圧者のための演劇から生まれた「応用演劇」をはじめ、さまざまなものがあります。英語ですと、アプライド・ドラマ、ドラマ・イン・エデュケーション、アプライドドラマなどさまざまな呼び名があり、活動をされている方々に伺うと、それぞれ微妙に内容や解釈が違うそうです。(詳しいかた補足プリーズ)
わたしもまだまだ勉強不足ですが、日本における演劇教育は、坪内逍遥先生の時代から続いています。玉川学園や成城学園での活動が先駆けで、玉川学園の岡田先生がイギリスのブライアン・ウェイを紹介した頃から、ヨーロッパの演劇教育の手法も紹介されていきました。
現在ではさまざまな手法が日本に紹介されており、さまざまなグループが活動したり研究したりしています。学会としては、日本演劇学会の分科会が積極的に活動を行なっています。学会以外でも演劇を取り入れた教育方法はいくつも論文として発表されています。
ちなみに「いわゆる」インプロが日本に上陸した時の経緯について書かれたものが、東大大学院情報学環の紀要にあります。
→東大出身の園部さんと福田さんの「日本における「インプロ」の導入と展開について」http://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/…/2…/60916/1/32_1.pdf
注:論文をもっと読んでみたいという方は、「google scholar」というサイトに行って、キーワード(演劇教育とかインプロとか)で検索すると無料で見ることができます。
また実践家や教育者の集まる組織もたくさんあります。(大小混じってしまっていますし、もっとあると思います。漏れていたらすみません!)例えば、雑誌「演劇と教育」を発行している演劇教育連盟(今年80周年)、児童演劇協会、芸能花伝社の活動(ADF)、西海まりさんが先頭を切ってくださっているEID(ドラマインエデュケーション)、オーハシヨースケさんの研究会、国際演劇協会、世田谷パブリックなど劇場ベースでの取り組み、平田オリザさんのワークショップの取り組み、ドラマケーションの活動などなどさまざま。
なお文化庁の取り組みでは、芸術家が学校に行くことを支援する事業があり、演劇人や劇団も学校に随分入っています。そのオーガナイザーをする組織もたくさんあります。
演劇教育という堅苦しい名前ではなく「遊び」をキーワードに活動しているグループもあります。
(アフタフバーバンhttp://www.afutafu-barban.orgなど)
このような演劇教育活動とインプロの関係を考えてみますと、演劇教育の活動には必ずと言っていいほど、即興的に行う活動が含まれており、ファシリテーターも即興的な対応が求められるため、ファシリテーターの能力としての即興性やインプロのトレーニング方法(ゲームとか)が応用されて使われることが多いのではと思います。
しかし、いわゆる「インプロ」以前にも、即興のトレーニングは、日本に紹介されてきました(ルコックやコメディアデラルテなど)。以下わたしの個人的な体験による解釈ですが、紹介された即興のトレーニングは指導が難しいものが多く、目的が概念的で、評価も難しく、そもそも演劇人を対象にしたものですので、教育業界にはなかなか広まっていかなかったのではないかと思います。
もちろん演劇界(とくに小劇場)では、エチュードと言われる即興的なトレーニングが存在していました。しかしこのトレーニングが「教育」と結びつくのには、なかなか時間がかかりました。演劇業界と教育業界の交流が盛んではなかった(それぞれがそれぞれの土壌で忙しくしていた)のではと思います。それがワークショップの大ブームのおかげで、じょじょにそれぞれが惹かれ合ってきているのではないかと、両方の業界に足を突っ込んでいる私としては感じています。
注:私よりよく知っている方々もいらっしゃると思いますので、コメント補足プリーズです!
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まず最初に「インプロ」に興味をもって、応用インプロのネットワークにお集まりの方々は、実はそこに「歴史」があることをなかなか知ることができないかもしれないなと思います。
でも知っておくことが、大事なんじゃないかな。
ということを、自分は感じ始めています。
たとえば研究者であれば、自分の研究をする前に、まず先行研究を知っておく必要がありますし、芸術家であれば、自分が活動をするためには、まず今までの芸術の歴史を知っておく必要があります。なぜかというと、自分は「これは新しい」と思っても、歴史を紐解くと、すでにやられていたことだったりもするからです。
そうなると、みなさんの活動は専門家から見ると「もうやられていること」であり、みなさんの発言は相手にしてもらえません。
それだと、せっかくのみなさんの情熱やモチベーションが
もったいないですよね!
みなさんの活動がより、現代の文脈に乗っかっていけるように、
みなさんがより多くの人たちと繋がれるように
そのためには、こういうことも必要なのかな〜と。
思ったしだいです。
もちろん、このようなことには、わたしよりずっと詳しい専門家の方々もいらっしゃいますので、そういう方々のお話を伺うことも、とてもとても大事なことだと思います。
研究するとき、自分の考えを主張する前に、まず「先行研究」を行います。これは今までどのような研究がなされてきたのかを調べること。いくら自分が「これは新しい発見だ!」と思っても、それはすでに誰かにやられていた研究かもしれないからです。
逆に「ここまでは分かっている」ことを知るということは「何が分かっていないか」ということを知ることでもあります。
そして「ここまでは分かっている」というところまでは、先人の研究に頼って(これを「巨人の肩に乗せてもらう」と言います)、そこから先の研究をやらせていただくのです。
先行研究を知らないと、「そこはすでに分かっているから、研究しなくてもいいよ」という点を研究しようとしてしまう場合もあります。
演劇でも、インプロでも、教育でも、演劇教育でも。そこには先人の活動や研究があるはず。それを知った上で、自分の活動をすることで、先人をリスペクトしながら、かつその先を行くことができます。(箱根駅伝みたいな感じ)
ですから、先行研究を知ることは、とても大事だと思います。
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