なんていい子。

3月11日(土)の朝。
ネコのハチ(16歳)は旅立ちました。
私たち夫婦のベットで、私たちに見守られて。
その朝、いつもならハチの「ハラヘッタ〜」コールで私たちが起こされるのに、彼はベットで、びろ〜んと身体を伸ばして寝ていました。完全にリラックス状態でした。とても幸せそうでした。
こんな日もあるよね。
そう思って、私たちの朝が始まりました。
しかしあまりにも起きてこないので、床ずれを心配して、身体の向きを変えようとしたら、ぐぐ〜っと身体が奇妙に変形しまいた。これは何か異変が起こっている。
彼の身体の下にタオルを引き、その縁で枕をつくって、顔をこちらに向かせて横に寝かせました。
右目の目やにをふきました。
目が開きました。
脱脂綿でお水をあげました。
ちょっと咳き込んだので、私が水をあげたのが悪かったのかと後悔しました。
何となくいつもと様子が違うので、ずっとベットのそばで、彼を見ていました。
夫がやってきて、夫も彼を見ていました。
急にハチの呼吸が荒くなりました。
大きく口をあけて息を吸いました。
そして動きが止まりました。
死んだのかと思いました。
しかし、また急に呼吸をしはじめました。
大きく口をあけて息を吸い、そして動きが止まります。
何度もさすって、声をかけました。
ハチ〜。
何度かそれが続き、
しばらくして落ち着いたようで、口が開かなくなりました。
鼻で息をしているのが分かりました。
マダイキテルヨ。
しばらくすると、「ぐぐぐ〜」って唸るみたいな声を出しました。
「オレ、死にたくないんだけどな〜。死んじゃうのかな〜。困ったな〜」
って言ってるような気がしました。
ノンキな感じで。
そのあと、ゆっくりと身体が動いて、
右足がフラフラ動きました。
身体が痒いのかな。
私は右脇腹を、そっとコリコリ掻きました。
首がインド人みたいに、フラフラと動きました。
これで元気になるのかな。
。。。
そのあと静かになって、
そして瞳孔が「ぱ〜っ」と開きました。
瞳孔はまるまるした黒色になって
まるで赤ちゃんのような眼差しになりました。
口元は微笑んでいるような感じになりました。
すごく幸せそうな顔になりました。
純粋な幸せの顔でした。
そして、
その幸せそうな顔のまま、ハチの時間は止まりました。
あれ?
止まっちゃったの?
身体の半分はまだ暖かかったです。
ハチの身体は微笑んだままそこにあって、魂だけが「ふわぁ〜」っと飛んでいった。
そんな感じでした。
私たち夫婦はそれをずっと見ていました。
ハチの顔は、まだ微笑んで赤ちゃんのように輝いていました。
でも何度も確認したけど、ハチの魂は、もうそこにはいないようでした。
夫が庭に穴を掘って、私は庭から花を集めました。
ハチがよく遊んでいた庭のあちこちに咲いている花を集めました。
タオルに包んだハチと一緒に、庭を一周しました。
庭の穴に、タオルに包んだハチを入れて、土をかぶせました。
花で飾りました。
なんていい子。
私たちの目前で死んでいってくれた。
死という一大イベントをしっかりやりきった。
生まれて、生きて、死ぬまでをしっかりとやり通した。
えらいよ、ハチ。
これからは魂となって、庭を駆け回るもよし、生まれ変わるのもよし。
そして、
またどこかで会おうね。
大好きだよ、ハチ。
