老猫ハチ、生きてます!

おい、老い、くるな。

うちには3匹の猫がいて、名前を<ハチ、マツ、ハナ>って言います。

 

このうちハチは16歳。

めちゃくちゃ人懐っこい性格で、どんな人間も怖がらす、

生きたアヒルをそのまま捕まえて猫ドアから入ってくるような利かん坊だったのですが、いまは甘えん坊のおじいちゃん。

 

そしていつのまにか、喉頭癌にかかってしまいました。

 

去年。

私はなかなかニュージーランドに帰ってこれず、

夫も忙しく海外と飛び回っていて、

猫の世話をお願いしていた義理の母は高齢で。

 

 

その間に、ハチは病気になってしまいました。

 

ハチはすっかり痩せてしまった。

 

ガリガリ。

 

獣医さんには「もう助からないから安楽死をさせたらどうか」と勧められました。(ニュージーランドではわりとすぐに安楽死を勧められるみたい)

 

でも食欲はものすごくあるんですよ。

 

食欲があるってことは、

生きる意欲がある。

ってことですよね?

 

歯槽膿漏から歯は前歯と奥歯しかなく、舌をうまく使えないために、食事は流動食がメイン。

 

鳥ミンチが大好物なので、それをペースト状にします。

そこにこっそり野菜をまぜたり、黄身をまぜたりして。

 

んがんが食べます。

 

口の周りがべちゃべちゃになるので、それを拭き取ります。

 

お水も赤ちゃんに授乳するみたいに哺乳瓶であげます。

 

身体をふきます。

 

目やにとります。

 

便秘になると大変なので、時々オリーブオイルやミルクをあげます。

 

口をふきます。

 

悔しいことに「老い」はどんどんやってくる。

 

昨日は「床に粗相してしまう」という老いがやってきました。ちょっと間に合わなかっただけですけれど。

 

だんだん目が離せなくなります。

 

こら、おい、老い、くるのが早すぎるぞ!

 

あっちへ行け〜!

 

このまま私が近くにいられればいいのですが、

恐ろしいことに、

私はあと10日ぐらいで、日本に帰国しなくてはなりません。

夫も私と数日遅れて、日本に2日、そしてカナダへ出張です。

 

家を2週間空けなくてはなりません。

 

その間どうするか。

 

「ペットホテルでは、うちと同じような介護はしてくれないだろう」と夫は言います。

 

「でも、どっか介護してくれる場所があるんじゃないの?」とつめよります。

 

「介護しなくてはならないペットを預かる人はいないだろう。責任が重すぎるから」と夫は言います。

 

それに。

もしペットホテルに預けて、ハチの容体が悪くなったらどうする?

最悪の場合、もしハチが亡くなったらどうする?

だったら、安楽死させてあげたほうがいいんじゃない?

と、夫はいう。

 

でもハチは生きてるし。

食欲あるし。

と、私はいう。

 

安楽死は人間の勝手な判断じゃないか?

と、私は思う。

 

でも。

どうせ亡くなるならば、見届けてあげたいと思う。

 

でも私は10日たったら、帰国しなくては。

4月になると仕事も大学院も始まるので、そうそう簡単にニュージーランドに帰ってくることもできなくなるだろう。

 

だったら、いま?

いま、さよなら、する?

 

でも今は。

ハチは生きてるし。

食欲あるし。

と、私は思う。

 

でも今さよならしなければ、

さよならできないかもしれない。

 

でも、だからといって

彼を殺すことはできない。

安楽死ってそういうことだし。

 

両方の思いが、ここ1週間ぐらい、ぐるぐるしている。

 

どうしたらいいのか。

 

ハチはいま、

ヒーターの前で、

死んだように眠っている。