WSレポート:ファシリテーションにおける即興性を問う_1

 2/27〜28に開催したワークショップ「ファシリテーションにおける即興性を問う――イエスアンドで始めるインプロ入門」のレポートが、フェイスブックで公開されました。フェイスブックをやっておられない方がたのために、ここに引用させていただきます。
 
 
■■■■■■
1日目
■■■■■■

// 自分を開く。私は受け止めるよというボディランゲージ! //
// 即興とは、構想と行動を瞬時に凝縮する行為 //
// 失敗を恐れない、ファシリテーターも間違っていい //
 
 絹川友梨さんによるワークショップ「ファシリテーションにおける即興性」は、ファシリテーションスキルアップのトレーニングとしてインプロの手法を応用しながら、ファシリテーター自身の思考や行動のクセを見直すことが目的でした。
 
 ファシリテーションと言いながら、気がつけばファシリテーターが頑張りすぎで、一方通行になりがちな「場」。どうしたら参加者がたくさんの刺激をうけて、参加者のヨコのつながりを感じられる場ができるのか、ということを重点的に考えました。カラダのコリを感じるように、自分の思考のクセを感じるエクササイズがいっぱいでしたね。
  
 まず、アイスブレイクも兼ねて《3つのストーリーテリング》(1つはウソ)をペアでやりました。有効な制約を与えることで、エクササイズが面白くなることを全員で経験。
 次に、TED Talkのデレク・シヴァーズ 「社会運動はどうやって起こすか」を観ながら、2つのファシリテーターの在り方があること考えました。「主体的な場を生み出す場づくり」を目指すファシリテーターには、「トップダウン型(参加者は一方的な刺激を受けていつの間にか受け身になる)」と「ボトムアップ型(参加者はさまざまな刺激をうけて、いつの間にか活発になる)」があることを確認しました。
  
 ★即興性とは:「構想」と「行動」を瞬時に凝縮する行為(Raymond)
 
 その後、コミュニケーションに置いて重要な《オファーとアクセプト》をみっちり感じるエクササイズが続き、ワークショップのファシリテーターに求められていることは何かを《エクササイズ35》で共有しました。
 
【ファシリテーションに大事なこと】
一人ひとりが大事にされること。
自分たちが主役だと自覚できる。
場に起きたことを受け止める。
聞く。
受け止める、否定しない。
全員が場に参加できるように調整する。
参加者が主役でいられるようにサポートする。
 
【1日目の終わったときの感想】
▼ ファシリテーターって素養の問題だと思っていたけど、エクササイズでトレーニングすれば広げられるような気がする。自分にも、手法にも可能性を感じた。
▼ 楽しいの連続。組織のなかに持ち帰って、継続してやっていきたいなと思いました。相手が必要なんだとわかった。
▼ 場に教えてもらうと感じた。何も考えないわけではないけど、リラックスしていられたのが新鮮だった。参加者を褒めなきゃいけないと思ったけど、その場でおきたことにホイッとやればよかったんだと気がついた。
▼ まなぶ以上に、自分を解放できて、いい時間だった。これだけの時間に名前も知らないのに、和ができて、許せるというか、失敗してもいいというのは、いい気持ちだった。
▼ 今までは知らないことが起きるとわーっと怖くなっていたけど、本当は参加している人にとっても楽しいのかも。相手に委ねるって大切なのかもと思った。それが相手が主役でいられるということ。力抜いて良いんだなと思った。
▼ 構えずに考えずに、その場の流れにぐっと入ることが、解き放たれるようで快感だった。手を握られるとか、人が聞いてくれるとか、そういうのが新鮮だった。
 
【終了時の講師コメント】
◎コミュニケーションのズレを恐れない。最初からズレるとおもってやる。
◎伝える/オファー⇔受け取る/アクセプトがコミュニケーションの基本。これをクリアに柔軟にやっていく。
◎ファシリテーターは考えながらしゃべらないといけない。自分が無責任しゃべるぐらいのスピード感がないと間に合わない。
 
 
■■■■■■
2日目
■■■■■■
 
// フォロアーとしてのファシリテーター //
// ワークショップの魅力はどうしたら伝わる?//
 
 2日目は、コーチングで扱われる《意識の方向》、共感から出発する《デザイン思考》、《ボディ・ランゲージ》、《フォーカス》、《リアクション》、《フロー思考》などなど、ビックワードもちらほら。
 インプロ(即興演劇)のエクササイズを体験しては、ファシリテーションのポイントについて、細やかな振り返りが行われています。体験をすぐにその場で、振り返り、その感覚をモノにしていく。実践と理論(言語)のスパイラルです。
 参加者のみなさんの笑顔の下に、実は様々な「葛藤」と「気づき」がもくもくと湧き上がっているのでは…?
 
 さて、2日目の朝、絹川さんに「ワークショップの魅力をどうやって伝えたらいいのか」という質問が寄せられました。その答えは…? 
 2日目の最初と最後に参加者の皆さんが残していった感想とともにお届けします。
 
【Q:ワークショップの魅力は、どうやったら伝えていけるのか】
 例えば、「共感」から入る。イエスアンドの精神。新しいことを学ぶのだと押し付けるのではなく、その人のベース(レディネス)にあわせて、こちらから提案できるようにする。大人は意味づけ・理由付けが明確でないと、難しい。意味をはっきりさせながら、相手が納得するようにワークショップを進めていく。こういう取組がでて、こういう成果もでているけれど、どうですかね?といういうように。
 同じリーダーシップでも、相手やグループによって、リーダーシップの質を変える必要がある。新人だったら、カリスマ的なリーダーシップが効果的かもしれない。成熟した集団だったら、フォロアー的なファシリテーションが良い。リーダーだったら色々と役割を演じないといけませんよねということを、ワークショップのなかで指し示していく。リーダーが間違ってもいいように、ファシリテーターだって間違ってもいい。
 危険なのは、ワークショップをすることが目的になってしまい、その先を見失うこと。ワークショップは本来はプロセスであって、その先に何かが生まれ出るもの。
 
 
【2日目が始まるときの感想】
▼ 私は楽しいと思ったけれど、相手も楽しいと感じるかはわからない。研修などで取り入れるときには、どんなものでも、タイミングと(参加の)ハードルの調整が肝心だと思った。
▼ 自分の思考や行動のパターンが浮き彫りになって、面白かった。即興などの場になると、やっぱりそれがついつい出てきてしまうものですね。
▼ ミスしちゃいけないとか、間違っちゃいけなと思う自分がいた。特に答えを持っていないといけないという現場にいるので、現場でどうやっていこうかなぁ…。
▼ いつもは研修となると通勤も苦に感じるが、今日は楽しくって、ワクワクして電車に乗っている自分がいた。

【2日目最後のコメント&感想】
▼ 「行う」のではなくて、参加者にあわせることが重要だと思った。教員も、本当は一人ひとりがファシリテーターだと感じる。一緒に体験しながら、勉強していきたい。
▼ 全体を観ていないといけない。同時に色々やらないといけないことが苦手なんだなと気がついた。気が重いけど、やっていかないといけない(笑)
▼ ミスコミュニケーションがあってもいいよと言われて、安心した。色々な立場の人に開かれた場を作ったりできたらいいなと思う。皆でやると楽しいとか、皆でやるからいいんだということを伝えていきたい。
▼ 仕事の現場で、間違っていいんだよというワークと、正しく覚えていて欲しいんだよと相手に伝えることを、どのように使い分けたらいいのかを考えさせられた。
▼ スピットファイア(前日にやったエクササイズの1つ)の場面で、言い淀んだり、堂々と考えこんだりすることも、あってもいいのかなと思った。それも日常であり、常に朗々と自分を表現できるわけではない。その点から考えると、一連のエクササイズがその場を取り繕うことを訓練するワークでないということを、どうしたら参加者に伝えることができるのだろうか。自分がわからないこと、真っ白になったことも誠実に考えこむのもいいと思うんです。
▼ 場の全体を見ているのが重要だと痛感した。意識を張っているというか、ファシリテーターが笑顔でオープンな状態でいるということが重要。
▼ 自分で決めたことに囚われないのが大切なんだと感じた。アタマでわかっているけど、一生懸命になりすぎて、相手をみているようでみていないことが起きるのは、私自身がリラックスしていないせいなのではと思った。ワークショップをやるとなると「ファシリテーターです!」というモードに入ってしまいがちだが、「〜でなければならない」というのに囚われないでいたい。
▼ こういうところにくると、すでに経験されている方と出合い、自分との考え方のギャップを感じる。それが将来の夢につながったらいいなと思った。
▼ 《意識のレベル》の2と3をよく観察しないと、ファシリテーターがやらせてる感がでてしまうのかなと思った。それをきちんと意識し、職場でも共有したい。
▼ 職場では、相手のアクションに対して興味がなかったらスルーすることもある。でも、それは相手も自分にアクションを起こさないのと同じことだなと気づいた。自分がやりたいことを主張するだけではなく、相手のことも意識して、理解していきたい。
▼ 参加者の意識の方向性をきちんと把握し、全体の状況確認をするための「リアクション」なんだと思った。相手に主体性を持たせるには、自分(ファシリテーターとして)に向かう意識の方向性を壊さないといけないなと思った。
▼ 日常生活にも役に立つことがたくさんあった。まず相手を受けいること、それは家族生活でも同じである。わかりあえないことを楽しんでみたい。
▼ エクササイズをやることを目的にしてしまうことは避けないといけないと自戒した。研修講師として、クライアントの目的にあわせなけなればならないこともあるが、そういうときにデザイン思考が役にたつと思っている。想像するよりも、まずやってみたい。
 

■■■■■■■
実施概要
■■■■■■■
 
コミュニケーションは、「わかりあえないこと」「伝わらないこと」から始まります。綿密に準備したワークショップでも、ファシリテーターは場の流れや参加者の反応に応じて、即座にプログラムを修正し、適切な参加のハードルを再設定しながら、円滑な場づくりを行います。そんなファシリテーションの手法に、日本のインプロ第一人者の絹川氏のワークショップで出会います。
 
 
★講師インタビューを公開しています★
インタビュー① インプロって何? https://goo.gl/tsW1K9
インタビュー② インプロの魅力 https://goo.gl/uuDRQp
インタビュー③ 即興音楽×即興演劇 https://goo.gl/qHNiwt
インタビュー④ インプロと音楽が出会うとき https://goo.gl/JKBToH
 
 
【日時】
2016年2月27日(土)13:00〜18:00、28日(日)11:00〜18:00
 
【会場】
上野学園大学オーケストラ・スタジオ
 
【定員】
30名 
 
【対象】
原則として、ワークショップなどのファシリテーション経験のある方。
アートを介した活動に興味関心のある方。
 
【講師】
絹川友梨(俳優/インプロ・ワークス株式会社代表)
即興演劇(インプロ)に出会い(1994)、インプロ・ワークスを設立(法人化,2009)芸術/教育/ビジネス/福祉の分野において、インプロの手法を用いてワークショップや講座などを国内外で行っている。主演映画「Memory and Desire」(日本未公開)でストックホルム国際映画祭主演女優賞/ニュージーランド・ベスト外国人パフォーマー賞受賞(1996)。東京大学大学院博士課程前期所属。玉川大学非常勤講師、桜美林大学非常勤講師、桐朋学園短期大学非常勤講師。国際演劇協会会員。日本認知科学学会会員。The Applied Improvisation Network 会員。