活動レポート

多治見市バロー文化ホールの試み

インプロを応用して、地域の活性化を!

1)面白い試み〜!

1/23,24,30,31の4日間、岐阜県多治見市のバロー文化会館主催の

「ことばの劇場」という大きなシリーズの一環として、

「やってみよう!ファシリテーション〜即興演劇でつなぐ人とひと〜」

というタイトルでワークショップをさせていただきました。

 

バロー文化会館でのワークショップはこれで2回目。

いつもテーマの段階から一緒に考えています。

参加者は20代〜60代まで、様々な職業の方々16〜18名で、

目的は、ファシリテーションを学び、実際に体験することでした。

 

2)自ら行動するために。

そもそも、この企画の「肝」は、参加者が「受け身」にならず、

自分からアクションが起こせるようになること。

このワークショップを経験することで「自分でも“場”をつくり、

ファシリテーションしよう」と行動できる市民を育てることです。

 

3)最近のワークショップ・ブームの中で

この目的の背後には、一般的に、最近のワークショップの

カルチャーセンター化の問題があります。様々な地域で、

様々なワークショップが頻繁に開催されるようになりました。

それは素晴らしいことなのですが、そのために参加者は、

提供されるワークショップを次々に受けるだけ、

出された食事をただ楽しむだけ、まるでカルチャーセンターに

通うかのような関わり方が増えてきているそうです

(そういう人のことを、ワークショッパーというらしい)。

 

もしその体験を、ワークショップという閉じた場で

終わらせないで、日常に活かせることができれば、

それはさらに役に立つ経験になるのではないかという思いです。

 

(もちろん“楽しい体験をする”そのものにも

大事な意味があるとは思うのですが)

 

4)ファシリテーションとインプロの関係?

ファシリテーションとは、複数が集まる「場」を、

目的に沿って活性化するように促進、サポートすることであり、

ファシリテーターとは、その役割を行う人のこと。

 

「場」は集まる人によって変化するため、ファシリテーターは

常に即興的な対応を求められます。

そのために、インプロのトレーニングがとても効果的です。

ただし、どのインプロのトレーニングが、どういう点で

効果的なのかを、指導側が分かっていることは必須です。

 

4)メニュー

さて、今回のワークショップは以下のような流れで行いました。

 

1日目:講義:ファシリテーションとは何か?

       なぜインプロを用いるか?

    体験:場をつくるために。

       場に開き働きかけるための練習

    相手に意識を向ける/リスポンス&リアクション

  

2日目:体験:インプロ体験(フォーカス/ステイタスなど)

    発表:自分が大事にしていること

     

3日目:議論:どんな企画をやってみたいか?

    体験:良いファシリテーターになるために

       (共感/オープンさ/イエスアンド/好奇心)

 

4日目:発表とフィードバック

 

5)発表内容

毎日とてもとても面白い発見があったのですが、

ここでは、最後の発表の部分をレポートします。

 

? ブレインストーミング

絹川からの無茶ぶりで、

参加者はそれぞれ「企画」を考えることになりました。

どんな「場」をどんな「人々」とどんな「目的」で開催したいか。

架空の設定でもオッケー!グループで考えました。

 

? 選抜

40個ぐらい出たアイデアの中から、

「自分の心がウズウズする企画」を選んでくださいとお願いし、

1人か2人で、その企画のファシリテーションをします。

対象者、流れ、内容、目的は各自考えること。

 

? 企画決め

と〜ってもユニークで面白い企画が登場しました! 

 

!) 結婚とは何か?

(既婚者と未婚者が集まり結婚の現実を考える)

 

!) 逆上がりだけが人生か?

 (逆上がりができない子供たちが集まる場)

 

? 空き家の有効利用

  (役場の職員対象)

 

!) 幸せとは何か?

(8カ国の人たちが集まって、幸せについて話し合う)

 

!) エジプト旅行説明会

 (シロクマのカップルが対象)

 

!) 職場の困ったちゃんの対処の仕方

  (職場の人間関係に息詰まっている大人)

 

!) 多治見の冬を暖かく、夏を涼しくする方法

 (多治見の一般市民対象)

 

!) 多治見の魅力発見大作戦!

 (多治見の一般市民対象)

 

 

6)いよいよ発表!

時間の関係ですべてはできないので

「最初の10分間」をやっていただきました。

ファシリテーターをする人たち以外は、

その企画の参加者となります。

以下のように時間を決めて進行しました。

 

!) 準備(5分)

!) 発表(10分)

? ファシリテートした人の感想(2分)

!) 絹川のフィードバック(2分)

!) 参加者のフィードバック(3分)

  メモに書いて発表者に渡す

 

7)フィードバックの仕方

細かいことかもしれませんが、

どのようにフィードバックするかは

とてもとても大事な部分と考えています。

フィードバックするときは、

単なる「感情的反応」にならないように。

次回の発表者の課題として

ちゃんと持ちかえれるようにすること。

そのために、フィードバックを記入するときは

以下の順番で、以下の内容を書いてもらうように

お願いしました。

 

!) 良かったところ

!) 気になったところ

? 直した方がいいと思った点。

★ただしネガティブなことを書く場合、

「○○が悪かった」で終わらせないで、

「△△するとよくなると思う」など

具体的なアドバイスを必ず書くこと。

 

8)まとめ

今回は「ファシリテーションをやってみよう!」ということで

4日間、合計16時間でファシリテーションについて学び、

実際に企画を考え、冒頭の部分だけですが実践しました。

 

実際に実現できるかもしれない企画もあり、

これを発展させていくことは十分可能だと思います。

 

発表は「無茶ぶりかな?」とも思いましたが、

それは私が参加者の力を信じていなかったから。

みなさん、十分に企画し、発表する力があると感じました。

 

また、このワークショップができたのは、バロー文化会館が

「市民の方々に自主的に企画する力を持ってほしい。

こちらには、それをサポートする力があります。

だからより積極的に関わっていただきたいです」という

強い意志があったからです。

 

この行政側の明確な意図とサポートがあることで

このワークショップが成立しました。

 

このように市民と行政が積極的な関わりを持つこと

コミュニケーションをしていくことで、

ワークショップはさらに意義のあるものになり、

「その場限りの楽しい場」だけではなく、

「そこからアクションが始まっていく場」へと

変容していけるのではないかと思いました。

 

最後に、参加していただいた皆様と

企画したバロー文化会館、担当の猪野さんには

 

本当に感謝します。さらに活動していきましょう!