負けた君へ

 あらためて演劇大学連盟「シアタースポーツ」について振り返っている。学生との「振り返り」では、オーディションから本番までの気持ちを書いた自由記述を仲間とシェアし、チームごとにチームでの出来事を思い出し、学んだことや今後の課題を出し、最後に他チームに対しての気持ちをシェアした。それらはすべて文字で残っている。それを今しみじみ眺めているのです。


 「悔しい」という記載が多々。考えてみれば、出演した8チームのうち、優勝は1チームだけ。つまり7チーム(88パーセント)の学生が負けを経験した。負けたチームはとても悔しかったようだ。なにせ1点差やカテゴリーダイで負けたので。ちなみに通常「シアタースポーツ」では、勝敗は、お客さんを盛り上げるためだけにあるので「本質的には勝敗は関係ない。気にするな」と言われる。今回もそれを学生には伝えた。しかし我々のシアスポでは「負けたくない」という学生たちの気持ちが一生懸命さを生み出し、それが観客に感動を与えていたのは確か。「負けてもいいや〜」という態度では、出演者が未熟な場合、逃げにつながることもあるのでは(特に成長過程の役者さんたちにとっては)。


 自分の気持ちは「悔しい」。だけど他チームに対しては「最大の友であり、最大の敵である」「ありがとう」「尊敬してる」などと書いている。すごいな〜。負けを認めるから強くなれる。次に進める。このフィードバックは次のステージへの準備になっている。みんなどんな人生を歩んでいくのだろうか。


 ちなみに今回「自分を発揮できなかった」と悔やんでる君へ。大丈夫。チャンスはこれからいくらでもやってくる。だから見逃すなよ〜。今度は飛び込めよ〜。やる前から「できないかも」って思わないこと。その決めつけが自分をストップさせてるんだから。それからインプロが下手でも、いい俳優はたくさんいる。凹むな〜。インプロは筋トレと同じ。やってれば上手くなる。今わからなくてもそのうち分かってくる。大事なのは、自分にイエスアンドして飛び込むこと〜。自分のことが分からなくなった君へ。自分がどんな気持ちでいるのかを書くかしゃべるかして「メタ認知」を育てること。そして名前がないものに名前をつけていくのだ。自分の気持ちや職業や未来に。君の人生は君が主役なんだよ〜。